バーム(蜜蝋クリーム)1個の適正な値段は
分かりやすいように、箇条書き+注釈で書きます。どうしても価値観や過去の体験談などを交えてダラダラ延々としゃべっちゃうテーマなので・・・。(いつもはもっと優しく、丁寧~~にお話ししますからね。怖がらないでくださいね。)
このテーマは、講座内でも、薄く軽くお話します。アロマテラピーをお仕事にしようと思っている人はもってこいのテーマなので。すごく詳しく聞きたい方は「そこんとこもっと詳しく!」とお気軽にリクエストしてください。
目次
受講者(仮にⒶさん)からのご質問
●ここ(アロマティコの教室)で作ったバームを、少しお友達(仮にⒷ子ちゃん)に分けてあげた
●すごく気に入ってくださり、自分(Ⓑ子ちゃん)が、お友達にも分けたい、使わせてあげたいと8個の注文がⒶさんに来た
●Ⓐさんは、自分の手持ちの材料もあるが、足りないものは購入した
●1個10mlで○○円にしようと思うがどう思う?という質問
●説明のリーフレットを入れた方がいいか?という質問
これをとても丁寧な文章で送ってくださった。ここで受講して、作ったものが良かったから、すぐにお友達にあげて、喜んでもらった。そして欲しいとリクエストが来た。
値段はいくらが適正か、説明は必要か。がメインの質問なのだけど、この質問のお返事に迷った。
ルールに基づいて一言で言ってしまうと「値段云々以前の話しで、バームを作ってあげるのは、やめた方がいい」になってしまう。
だけど、Ⓑ子ちゃんとの友人関係や信頼関係・8個も作って売って欲しい、お友達にも使って貰いたいと言ってくれた気持ち・その他にも色んなこれまでのお二人のやり取りや信頼があるから一概には「ダメです」と言えない。
その部分を丁寧に説明した。
テキスト通りなら「ダメです」。だけど、実際は私も何年も通ってくださる方にはバームを試作した時などおすそ分けしている。また妹や友人に頼まれて作った事もある(有料)。これはお互いの信頼とか、実際にここで作った事がある方でレシピや衛生状況を知っているとか、体調とか、付き合いの長さ、私がどんな事にこだわって作っているかを知っていて、何かあれば相談できるところに居る、など理由はたくさんある。
そして何より「自己責任」が分かっているからだ。そのあたり、通じない方には有料でも作らない。正式な方法で、作りに来てもらっている。

大前提「法律」絶対触れちゃダメ
アロマクラフトに関わって来る法律はたくさんある
特定商取引法→特定商取引法ガイドのサイトから
PL法(製造物責任法)→消費者庁のサイトから
薬機法→薬事法ドットコムのサイトから
薬機法→契約学習専門サイト「契約watch」から
景品表示法→消費者庁のサイトから
医師法→UOCCtというサイトの法律のカテゴリーから
化粧品製造販売業許可→香川県のサイト「化粧品の製造販売、製造(輸入)について」から
他にも色々ある。このくらいアロマクラフトを、個人で売るのは大変ということだ。
アロマトリートメントサロンになると、もっと増える。
正々堂々とバームを売る方法
3つの方法を思いつく(たぶん)
■OEM
あくまでも一例ですが、こんな素敵な会社がある。
→鹿児島県大隅半島の最南端、南大隅町
「株式会社ボタニカルファクトリ―」
自分のオリジナルブランドを作ってもらう「OEM」という方法。(リンクはウイキペディア)ただし、なかなかの大量生産になるので、個人では中々出来ない。あとは材料は、ほぼ持ち込めない。
こういうところなら、いろんな提案もしてくださる。いろんなOEMの会社があるので、よくよく探すのがいい。
見失いがちなのは安く作りたいと値段だけで選べば、それなりの商品になる。
自分の本来の目的は・・・私は何を届けたかったのか、何かを伝えたかったのか、どんな人に届けたかったのか、それをちゃんと考えて会社や素材を選ばないと「儲けさえあればいい」という商品が出来上がってしまう。選択肢がある時は、自分の価値観の確認と思うといい。
■ワークショップ
OEM、それは無理・・・
じゃあどうやってみんなにバームを届けれられるか、と言ったらワークショップをするしかない。お客様に来て頂き、自分で作ってもらう。
(ただし、ワークショップで作った化粧品を参加者が販売すれば違法対象。)そしてこの方法が一番安全。
ワークショップの一番難しいのは値段設定。
どんな材料を準備して、どんな場所で、どんな言葉で伝えるか、どんな時間が過ごせて参加者は何が得られるのか・・・・で値段を決めます。値段の付け方には、このブログの下の方「価格設定は難しい」に書きました。
■届け出を出す(以下はGoogleAIから)
バームなどの化粧品を製造・販売するには、化粧品製造業許可の取得と、品目ごとの化粧品製造販売届の提出が必要です。
【化粧品製造業許可の取得】
- 都道府県知事の許可が必要
- 申請には、製造業許可申請書、登記事項証明書、責任技術者の雇用契約書などが必要
- 製造所の構造設備に関する書類や、製造品目一覧表なども必要
【化粧品製造販売届の提出】
- 主たる機能を有する事務所の所在地の都道府県知事に届け出る
- 届出には、販売名(製品名)、製造所、含まれる成分などの情報が必要
- 届出は、製造所のある都道府県の薬務主管課にオンラインのFD申請を利用して行う
- 届出内容を変更した場合は「化粧品製造販売届出事項変更届」を提出する必要がある
化粧品製造販売業を営むには、事業者としてのコード番号(業者コード)を取得(登録)する必要があります。これは、インターネット(e-Gov電子申請サービス)上で行うか、厚生労働省にFAXで登録票を提出して行います。
化粧品製造販売業者は、市場に出荷した製品に対して最終的な責任を負います。
例えば、私がバームについて熱く語って、本当にいいものなので「ご希望の方には、カウンセリングをして、有料で作って送りますよ」は、絶対にダメです。
商品やサービスの品質・内容・価格についての表示に対する法律が「景表法」と呼ばれる景品表示法です。このブログも、SNSも、店内のメニュー表「表示」にあたります。
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ここまで説明したら「限りなくクラフト売っちゃダメじゃん」ってなる。
法律の解釈は、良いようにも、悪いようにも、使える。自分の価値観がプラスされる。大事な事は、自然の材料は毒にも薬にもなる性質がある事を忘れずに、使う人に悪い様にならない使い方を伝えるという事。自分の都合で良い様に解釈をしない事。
①雑貨(精油など)は良いけど、それも原材料を良く調べる。
➁肌に付ける目的のものは免許なしに製造、販売出来ない。
③肌に付けるものを友人にプレゼントしてもいいが、説明は必要。何かあればちゃんと対応できる前提。作った人も、使った方も、自己責任。何か起きれば、責任が問われる可能性もある。
どこで線引きするか
作る作らないの私は線引きは、
●責任問題についてはっきりさせられる関係かどうか
●自分が作って嬉しいと思える値段と内容(材料)で作らせてもらえるかどうか。
この考えの理由は以下の通り
料金に対してもやもや、違和感を感じた
→「時間、手間」を料金に乗せられなかった。注文にかかる時間、材料を探す時間と手間、学んだ時間、試行錯誤の時間を、料金に載せていない。作る手間、時間。どれもお金と同じくらい大事なもの。ちょっと、じゃなくて、ちゃんと乗せられなかった。
→対策:紙に書き出してみる。市販、サイト等でバームの値段を調べてみる。注文が来る前提で値段を考えて置きサイトなどに乗せて置く
自分の思う価格を伝えられなくて、心のモヤモヤが残ってしまった
→頼んできた相手が悪いのではなく、伝え方や設定を考えていなかった自分が悪い。もともと考えていなかった自分のミス。
→対策:1度は「モニターです」と安い値段でやってみる。渡す時までに、値段の準備、伝える準備をしておく。
心と裏腹に相手の希望に合わせ、そのために仕事の質を落とした
→相手のお願いの理由に負けた。または勝手な思い込みで値段を低めに伝えた。その為に材料や内容を質を下げた。
→対策:そうは言っても・・・相手の希望に合わせないと・・・と思うなら1回やってみる。自分が何を感じるかを受け止める。相手に渡してみて、自分がどう感じるか、ちゃんと考える。材料選びの学び、参考、経験値、価値観の確認になると思う。無駄にはならないから大丈夫。値段を下げても材料や内容の質は下げない。
価格設定は難しい
値段を直接伝えるのは難しい。だから聞かれる前に事前に設定しておく。
それが「高い」と思えばお客様は来ない、「安い」と思えば来る。
その「高い」「安い」の前には、想像していたものよりも、という言葉が入る。
ただそれだけのこと。私のスクールも分類したらワークショップの様なモノかもしれない。
値段を安くすれば人は集まるかもしれない
けれど自分が過去に出会った全てのモノ、人、経験は「それっぽっちのもの」となってしまう気がする。
そして、ただ数字だけを並べて選ぶ人に選ばれてしまう可能性もある。
高くすれば、人が来ないかもしれない
けれど、高いくて「え?」と思えば、理由を確認してくれるかもしれない。そこで損か得かを考えてくれるかもしれない。
その「話を聴いてくれるチャンス」があるなら、あとはちゃんと説明できる言葉を自分が出せるかどうかだけだ。
どっちで目を留めてくれるか・・・どちらがいいかは、自分で決める。
質問の答え、ミツロウクリームの値段の出し方
①目に見えるお金「材料費」を出す
材料費とは
・材料全部の合計価格(送料含む)→ミツロウ1袋とか、ホホバオイルひと瓶とか、の値段。
・1個当たりの材料の値段(包装料金、シール含む)
これを考えて、最低限の材料費の値段を出す。
「大袋で買ったら安い」とか「入れたらいい感じになるけど、2度と使わないだろう」というものは買わない。
全部の値段の把握が大事なのは、1個当たりの値段で計算しても、結局その後の材料が無駄になればそれは自分の損になることを頭に入れておかないといけないから。
➁値段にするのが難しい部分
一番言いにくい部分だけど、ここに一番価値がある。
・作る時の手間(準備、作成、洗い物、注意書き、ラッピング、値段計算 等)
・材料を選ぶ為に、迷ったり調べたりする時間
・学んだ時間、試作した時間
・経験値
・自分の価値観
など
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①と➁を足して料金にします。結構高くなります。当然
・市販品よりは高くなります
・説明も必ず必要になります
分かってもらう為には、日々の自分の言動しかないと思います。どうして、そんな値段になるのか、自分の言葉で説明しましょう。(今わたしが書いている様に)
相手に伝わらない事も有ります。自分の力が足りなくて伝わらないこともあれば、相手の重要視する部分が違う時もある。
最後に伝えたい事
●疑問を大事に
疑問が浮ぶのはすごくいいことで、そのたびに自分の価値観の確認になる。疑問や違和感は無視しない。無視すると大ごとになって戻って来る。
●やりたくないという気持ちを大事に
してあげたい事・やりたくない事は、相手によって変わります。一瞬迷います。
あの人には快く出来たのに、この人にはやりたくないと思う、この違いは有って良いはずです。仕事でもプライベートでも
「この人が苦手」「きらい」の理由を、
感覚じゃなくてちゃんと言語化して持っておけば次回慌てません。そしてどんな相手にも平等に対応するための軸も見えてくるはずです。
感覚でコロコロ変えるのは自分も疲れるし、人がら見ても良いものではないよね。
●自分の軸を育てる。器を磨いて大きくする。
相手によって価値観、金額、内容を変えてしまうと、それは自分がブレている事になり、そのブレやゆがみは自分に戻り、自分の成長の妨げになると思っています。
他者から見ても、結局この人は何をしたいのだろうと、結局信用できない人に見えると思います。
良いも悪いも、最後は自分が自分の責任で決めれば良い。フラッとした人の話を聴いていると、責任逃れをが見え隠れしている。だから良く分からない言い方で、信用が出来ない。
迷った時こそ自分はどう思うのか自分の過去を振り返って決めればいい。
迷ったら振り返る。振り返えって、あれが間違えだったと認める。あれは正解だったと自信を持つ。それを踏まえてまた進む。
小さなバームひとつ売る事が、何に繋がるのかを考えると自ずと答えが出てくると思います。自分の決めた答えが、次回の土台になるとしたら、今回はどういう答えを出すのが正しいのか。
出した答えによって、自分に返って来るものがどういうものであって欲しいと思って、その値段にしたのか、材料を選んだのか、渡し方をしたのか。最後は自分の責任です。
アドバイスを誰に貰っても、最後は自分の責任。私はいつもそうしています。