当たり前だけど・・・蘭奢待(らんじゃたい)だけじゃなかった

高松アロマスクール、アロマサロン、アロマティコ高嶋です。
この夏、蘭奢待の香り(を再現したもの)が嗅げるかもしれないと、ずっとワクワクしていました。

蘭奢待とは?という方はコチラのブログも合わせてどうぞ!
2025年6月10日のブログ

蘭奢待とは正式名称は「黄熟香(おうじゅくこう)」です。

蘭奢待は、東大寺正倉院に収蔵されている香木で、広く知られています。沈香の一種です。

沈香とは?香木とは?と、興味が広がりますよね。

蘭奢待自体にもいろんなエピソードがあってどこまででも調べたくなる対象です。

先日(2025年8月)に、展覧会で蘭奢待の香りを分析し、そこから作られたという香りを体験して参りました。その時のまとめをブログにしました。

香木の王様蘭奢待

どうして王様?
蘭奢待の何がすごいのか。

私的にはこんな大きな香木が(長さ156cm、最大径43cmほどの巨大な香木。私より大きいの。)、そんなものがどこからともなく淡路島に流れ着れついたのもスゴイ。火にくべたらいい匂いで・・・というエピソードもすごく好き。そりゃこんな大きな香木・・・火にくべたら(笑)お香をして事がある人は知っていると思うけど、すごく小さい欠片(かけら)でもいい香りなのに、こんなおっきな香木、ねぇ?どこまでも匂っただろうに。

蘭奢待という名前がついたこの沈香。沈香(伽羅)自体が、奇跡なわけ。色んな自然の偶然が重なって、たまたま出来るものなのに、この大きさで残っているのがスゴイ。もう、どんなに探しても、このサイズの沈香は無いらしい。

以下はAI引用しています

  • 香りの希少性と成分:蘭奢待は、沈香の一種で、東南アジア原産の特定の樹木に樹脂が沈着してできる香木です。その中でも特に上質なものを伽羅(きゃら)と呼び、蘭奢待は伽羅の中でも最高峰とされています。
  • 歴史的価値:蘭奢待は、聖武天皇が東大寺に寄進したとされ、正倉院に保管されています。時の権力者たちがその香りを求め、一部を切り取ったという歴史的事実は、蘭奢待の価値をさらに高めています。
  • 文化的な象徴:蘭奢待は、単なる香木以上の存在として、日本の文化や歴史における重要な象徴となっています。その香りは、時の権力者たちを魅了し、様々な物語を生み出してきました。
  • 科学的な調査:近年、蘭奢待の香りの成分が科学的に分析され、300種類以上の成分が含まれていることが判明しました。特に「ラブダナム」に似た香りが特徴的で、その香りが再現されたことで、蘭奢待の香りを体験できる機会も生まれています。

まとめ: 蘭奢待は、その希少な香りと歴史的価値、そして文化的な象徴としての重要性から、天下の名香として特別な存在となっています。その香りは、現代においても多くの人々を魅了し続けています。

精油としての沈香

英語名:Agar wood(アガーウッド)
ベトナム現地語:「ヨウバオ」
インドネシアやマレーシアの現地語:「ガハル」と呼ばれています。
香水業界では=Oud(オード)と言うらしい

学名:Aquilaria malaccensis (syn Aquilaria agallocha)
科名:ジンチョウゲ科
抽出部位:樹木・心材
抽出法:いろいろある。水蒸気蒸留法・液化二酸化炭素抽出法・超臨界流体抽出法など
和名:沈香(じんこう)

私は、アガーウッドの精油を持っていて(娘がベトナムへ行ってきた時に買って来てもらったもの)、「本物かどうかは分からないよ!」と言いつつ、一応精油が並んでいるお店で買ってきてくれた。

これが本当にいい香り。本物かどうか・・・これは分析表で調べなきゃ分からない。でも、嫌な気持ちにならないので(娘が買ってきてくれたというのも加味されるから)、本物って言う事で。

ウチに来てくだされば、ぜひ嗅いで頂きたいです。

沈香と伽羅

違いが私も実ははっきりとは分かっていなくて・・・。香道を時々学びに(体感程度ですが)行くのはそのため。理屈よりも、嗅いで知る方が早いと思っています。理屈で言えば、過去に勉強会でレジュメとしてまとめた事があります。

レジュメ全部を載せられませんが・・・

・品質の高低で語られれる事もあります。

・伽羅の方が沈香より高価と言われます。(私にしたら両方とも高価ですが・・・)

・沈香の中の、品質の良いものが伽羅と言われるという事もあります。

・見分け方として、香りはもちろん、水に浮く沈む(比重の違い)などもあげられます。

・柔らかさ(爪で後がつくとか、付かないとか)で分ける事もあるし、産地の違いで分けられることもあります。

ちなみに
沈香は精油では、アガーウッド
伽羅は精油では存在しません。

2025年、蘭奢待にスポットがあたった展覧会

https://shosoin-the-show.jp
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正倉院 THE SHOW   
大阪歴史博物館
2025年614日~824
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これは見にいかねば、嗅ぎに行かねばと行きました。
蘭奢待というよりは、正倉院の意義についてを学びました。

正倉院とは

正倉院(しょうそういん)とは、奈良県奈良市にある東大寺の宝物を保管する倉庫のことです。特に、聖武天皇ゆかりの品や仏具、文書などが保管されており、奈良時代の文化を伝える貴重な宝庫として知られています。現在では宮内庁が管理しており、毎年秋には一部が奈良国立博物館で「正倉院展」として公開されます。

正倉院は、校倉造(あぜくらづくり)という独特の建築様式で知られ、その構造も文化財として評価されています。また、正倉院に収蔵されている宝物には、日本だけでなく、中国やペルシャなど海外から伝わったものも含まれており、「シルクロードの終着点」とも呼ばれることがあります.

正倉院の主な特徴:

  • 校倉造:正倉院の建物は、外部からの湿気を防ぐ構造の校倉造で、宝物を良好な状態で保存するのに役立っています.
  • 宝物:聖武天皇の遺愛品や光明皇后が奉献した品々、仏具、楽器、文書など、多岐にわたる宝物が収蔵されています.
  • シルクロード:正倉院には、シルクロードを通じて日本にもたらされた海外の工芸品や美術品も含まれており、国際色豊かな文化交流の証となっています.
  • 勅封制度:正倉院は、天皇の許可がなければ開けることができない「勅封」という制度で厳重に管理され、1200年以上もの間、宝物が守り伝えられてきました.
  • 正倉院展:毎年秋に奈良国立博物館で開催される正倉院展では、収蔵されている宝物の一部が公開され、多くの人々が訪れます.

正倉院は、奈良時代の文化を今に伝える貴重な文化財であり、その歴史的価値と文化的な意義は非常に大きいと言えます。

こちらも↓合わせてどうぞ!!

宮内庁HP
https://shosoin.kunaicho.go.jp/about/history

正倉院の宝物たちの封印。映像が面白かった。

講座にどう反映するか

広げると大変なことになるので、敢えてやはり、蘭奢待を

その中で香りの分析をさた中で注目されたラブダナムを

そして嗅いだ香りに似た香りを作る「調香」をどうするのかを、今後の講座の中に落として行こうと思う。

歴史の中の香りはどういうものがあるか、それのエピソードに加えて、どう使われていたか。

日本(アジア)の香木「沈香」とはどういうものか。伽羅とどう違うのか。海外の香水にどう使われているか。

これだけでも、この先の調香やお香についての知識の深掘りに役立つはず。

ちなみにラブダナムとは

英名:Labdanum (Cistus/Rock Rose) Organic
学名:Cistus ladaniferus
和名:ハンニチバナ
科名:ハンニチバナ科

ラブダナム=シストローズ
(シスタス/ロックローズ)

以下生活の木より精油の成分を。
(私が持っている精油が生活の木のシストローズだったから)

成分名含有%
テルペン系炭化水素
α-ピネン
カンフェン
p-シメン
リモネン
デヒドロ-p-シメン
γ-テルピネン

33.47%
2.60%
2.45%
1.78%
1.53%
1.21%
テルペン系アルコール
trans-ピノカルベオール
グロブロール
ボルネオ―ル
テルピネン-4-オール

3.02%
3.03%
1.04%
0.95%
エステル
酢酸ボルニル

2.97%
ケトン
トリメチルシクロヘキサノン
イソピノカンフォン
ピノカルボン

1.47%
0.98%
0.79%

最後に

くれぐれも、どんなに成分を分析をされても、蘭奢待はラブダナムでは無い。

蘭奢待を分析したら、成分として成分がラブダナムに似ている・・・・という事に過ぎない。

そういう芳香成分を持っているという事で「こんな雰囲気の香り」という想像は出来るけれど、やはり蘭奢待本体を嗅ぐ以外、やっぱり誰かのフィルターを通した情報に過ぎないわけだ。

会場にあった「蘭奢待」の香りは、優しくていい香りだった。けれど、なんだろう「どこかで嗅いだ香りに似ている」という気持ちが浮かんだ。

蘭奢待は、正倉院にある宝物のひとつ。これからも、香りをとっかかりに色んな事に興味をもって、いろんな事を知るきっかけに結び付けていきたい。

着物に香りを焚き込めるための道具。転がっても、中のお香がこぼれない様になっている。すごい!

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